内装職人になるには|未経験から始める道と最初に身につけたい技術
内装職人になるには、内装工事の会社や親方のもとで働きながら覚える道と、学校や講習で基礎を学んでから現場に入る道があります。この記事では、内装職人の仕事の範囲、未経験から最初に身につけたい技術、関係する資格、仕事として請けるときに知っておきたい決まりを順に整理します。
内装職人とはどんな仕事か
内装職人とは、建物の内側の床・壁・天井などを仕上げる職人の総称です。新築だけでなく、リフォームや賃貸住宅の退去後の補修など、住まいが使われ続けるかぎり仕事が生まれる分野です。
| 主な分野 | おもな作業の例 |
|---|---|
| クロス(壁紙) | 下地の調整、壁紙の採寸・カット・貼り付け |
| 床仕上げ | クッションフロア、フロアタイル、カーペットなどの施工 |
| 下地・ボード | 壁や天井の下地組み、石膏ボードの張り付け |
| リペア・補修 | 壁の穴、床や建具の傷・へこみの補修 |
| 化粧フィルム | 建具やカウンターへの化粧シートの貼り付け |
1つの分野を専門にする職人もいれば、クロスと床、補修までまとめて受け持つ職人もいます。どの分野から始めるかで、最初にそろえる道具や練習の中身も変わります。
内装職人になる主な道
大きく分けると「働きながら覚える」と「基礎を学んでから現場に入る」の2通りです。どちらが合うかは、今の仕事や生活の状況、覚え方の好みによって変わります。
内装工事の会社や親方のもとで働きながら覚える
見習いとして現場に入り、材料の運搬や養生、片付けを手伝いながら、少しずつ任される作業を増やしていく道です。収入を得ながら本物の現場を見られる一方、教わる内容や順番は現場の状況に左右されやすく、同じ作業を繰り返し練習する時間はとりにくい場合があります。
学校や講習で基礎を学んでから現場に入る
職業訓練校やスクール、講習などで道具の扱い方や基本の手順を練習してから、就職したり現場に入ったりする道です。学ぶための時間は必要ですが、現場に出る前に失敗しながら練習できます。
費用は学び方によって異なります。スクールや講習の多くは受講料がかかります。一方、公共職業訓練(ハロートレーニング)の離職者向けコースは受講料が無料(テキスト代等は自己負担)です。どのようなコースがあるかはハローワークで確認できます。
| 項目 | 働きながら覚える | 学んでから現場へ |
|---|---|---|
| 収入・費用 | 働きながら収入を得られる | 受講料は学び方で異なる(公共職業訓練の離職者向けは無料) |
| 練習の機会 | その日の現場の作業しだい | 基礎を繰り返し練習しやすい |
| 合いやすい人 | 早く現場に出たい人 | 基礎から順に覚えたい人、現役で基本を見直したい人 |
未経験から最初に身につけたい技術
分野にかかわらず、最初に身につけたいのは「測る・切る・下地を整える」の3つです。これらはクロスにも床にも補修にも共通する土台になります。
- 採寸と割付け:部屋の寸法を正しく測り、材料をどこから貼り始めるか、継ぎ目をどこに出すかを決めます。ここがずれると、材料の無駄や目立つ継ぎ目につながります。
- まっすぐ切る:カッターと定規で、材料をずらさずに一度で切る練習です。刃をこまめに折って切れ味を保つことも仕上がりに直結します。
- 下地処理:パテで凹凸や継ぎ目を埋め、研磨して平らにする作業です。壁紙や床材は下地の凹凸を拾いやすいため、仕上がりの多くは貼る前の段階で決まります。
- 養生と片付け:周りの床や建具を汚さないように覆い、作業後は元の状態に戻します。お客様の住まいで作業する以上、技術と同じくらい大切な部分です。
現場では、貼る作業そのものよりも、貼る前の下地確認と養生に時間をかける職人が少なくありません。仕上げた後では直しにくい部分を先に整えておくほうが、やり直しが減り、結果的に作業が早く終わることが多いためです。
具体的な手順は、クロス(壁紙)の貼り方のコツや石膏ボードの穴の補修方法でも紹介しています。
内装職人に関係する資格
内装の仕事には、腕前の目安になる国家検定と、作業によっては法律で資格が必要になるものがあります。
| 資格 | 内容 |
|---|---|
| 内装仕上げ施工技能士 | 技能検定の1つ。床仕上げ、鋼製下地、ボード仕上げ、カーテン、化粧フィルムなどの作業ごとに試験科目が分かれている |
| 表装技能士 | 技能検定の1つ。壁紙などを張る「壁装作業」で受検できる |
| 電気工事士 | 住宅などの電気設備を設置・変更する電気工事の作業は、軽微なものなどを除き、電気工事士でなければ行えない(電気工事士法第3条) |
厚生労働省「技能検定制度について」によると、技能検定は、技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、合格すると「技能士」と名乗ることができます。受検の条件や日程は職種・等級ごとに異なるため、受けるときは各都道府県の職業能力開発協会の案内で確認してください。
内装の現場では、照明やコンセントの位置を動かしたいという相談を受けることもあります。配線にかかわる作業は資格の有無で受けられる範囲が変わるため、自分にできることとできないことを分けて考えておくことが大切です。なお、電気工事を仕事として請ける場合は、資格に加えて電気工事業の登録などの手続きも必要です(電気工事業の業務の適正化に関する法律)。
仕事として請けるときに知っておきたいこと
自分で仕事を請けるようになると、技術に加えて、見積り・段取り・法律の決まりも自分で押さえる必要があります。
- 見積り:材料の量だけでなく、下地の補修や家具の移動など、手間がかかる部分を事前に確認して金額に反映します。
- 段取り:大工や設備など他の工事との順番、養生の範囲、廃材の扱いを決めておきます。
- 建設業の許可:建設業法では、工事1件の請負代金が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)の「軽微な建設工事」のみを請け負う場合を除き、建設業の許可が必要です。金額は消費税込みで判断し、注文者が材料を提供する場合は、その市場価格なども請負代金に加えて判断します。1つの工事を複数の契約に分けても、原則として合計額で判断します。
- 石綿(アスベスト)の事前調査:リフォームを含む建物の改修工事では、規模の大小にかかわらず、工事の前に石綿の事前調査が必要です。建築物の事前調査は、令和5年(2023年)10月から、建築物石綿含有建材調査者などの一定の要件を満たす者が行う必要があります(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイトより)。また、請負代金が100万円以上(消費税込み)の改修工事などでは、事前調査の結果を労働基準監督署などへ電子システムで報告する必要もあります。
独立を考える方は、こうした段取りや決まりを事前に整理しておくと、準備を進めやすくなります。
まとめ:基本の技術を順に積み上げる
内装職人への道は、働きながら覚える方法と、基礎を学んでから現場に入る方法があります。どちらを選ぶ場合も、採寸・カット・下地処理といった基本の技術と、資格や許可の決まりを知っておくことが、現場で信頼される第一歩になります。
講師の経歴やスクールの考え方はスクールについてで紹介しています。1日または2日で基本の作業を練習できる内容はAコース(基礎技術習得)をご覧ください。実習内容は、受講前に経験や目的をうかがって組み立てます。


