パテ処理のやり方|パテの種類の選び方と乾燥・研磨の見極め方
パテ処理のやり方は、パテの種類を選び、薄く塗って乾かし、段差がなくなるまで研磨する、という流れが基本です。パテ処理とは、下地の継ぎ目やビスの頭のくぼみ、へこみをパテで埋めて、平らな面をつくる作業のことです。この記事では、種類の選び方、塗り重ねの手順、次の工程に進んでよいかの見極め、研磨のコツを、クロスの下地づくりを中心に整理します。
パテ処理が必要なのは、下地の段差やくぼみが仕上げの表面に出てしまうからです。石膏ボード工業会の「石膏ボード施工マニュアル」は、塗装や薄手の壁紙張りなどの仕上げでは、下地ボードの調整が仕上精度に直接影響するとしています。
クロス貼りの全体の流れはクロス(壁紙)の貼り方のコツで、壁の穴を埋める方法は石膏ボードの穴の補修方法で解説しています。ここでは、その中のパテの工程だけを掘り下げます。
パテの種類と使い分け
室内の下地に使うパテは、固まり方で「反応硬化型」と「乾燥硬化型」に分けて考えると選びやすくなります。同マニュアルがJIS A 6914をもとに示す継目処理材の表では、粉末状の反応硬化型は主として下塗用、乾燥硬化型は下塗・中塗・上塗の兼用とされています。
| タイプ | 固まり方と特徴 | 扱うときの注意 |
|---|---|---|
| 反応硬化型(石膏系など) | 水と練り合わせることで硬化する。工具通販のモノタロウの解説では、粒子の粗い下塗り用パテとして紹介されている | 練ってから使える時間が決まっているため、製品の表示を確認し、使い切れる量だけ練る |
| 乾燥硬化型(炭酸カルシウム系など) | 乾燥することで硬化する | 吉野石膏の製品説明では、乾燥パテには硬化促進剤を使っても効果はないとしている |
製品は「下塗り用」「上塗り用」に分かれていることもあります。吉野石膏の製品説明を見ると、下塗り用の例では骨材を配合してヤセ(乾いてパテがへこむこと)を抑えていることが、上塗り用の例では、きめが細かいことやクロスとの接着が良好なことが特徴として挙げられています。また、ペースト状で練る手間のいらない乾燥型には、ペイント仕上げ用とされている製品もあります。クロスか塗装かで合う製品が変わるため、仕上げ材を先に決めてから選びます。
下塗りで高さをそろえ、上塗りで面をならす、と役割を分けて考えると進めやすくなります。一度に両方を済ませようとしないほうが、結果的に手直しが少なくなるためです。
パテ処理の基本手順
手順は「下地を確認する→下塗り→乾燥→上塗り→乾燥→研磨→確認」の順に進めます。
- 下地を確認する:ゴミ・水・油などの汚れを落とし、飛び出したビスの頭を沈めます。古い建物で既存の下地や補修跡を削る場合は、作業の前に下の「研磨のコツ」にある石綿の説明を確認してください。賃貸住宅の壁は、補修してよいかを作業の前に契約書や貸主・管理会社に確認します。
- 下塗りをする:パテベラで、継ぎ目やくぼみにパテを押し込むように埋め、余分をかき取ります。ボードの継ぎ目にはジョイントテープなどを併用します。ジョイントテープは下塗りをしてから貼り、グラスメッシュテープは先に貼ってから下塗りをします。
- 乾かす:製品の表示に沿って乾かします。下の「乾燥の見極め方」も確認してください。
- 上塗りをする:前の回より広い幅に薄く塗り、まわりの面へなだらかにつなげます。
- 研磨する:乾いたら、防じんマスクと保護メガネを着け、換気をして、サンドペーパーで段差をならします。
- 確認して粉を落とす:明かりを横から当てて凹凸を確かめ、残った部分は上塗りと研磨を繰り返します。最後に、マスクを着けたまま研磨の粉を取り除きます。
上の手順は2回塗りの例で、継ぎ目では中塗りを挟むこともあります。塗り幅の目安として、同マニュアルの図では、テーパーエッジボードの継目処理で塗り幅が100mm程度、150mm程度、200〜250mm程度と回ごとに広がっています。これはボードの継ぎ目の例で、ボードの種類によって幅は変わります。
同マニュアルの図では、継目を処理した後の「全面パテ処理」は、指定がある場合に行う工程とされています。継ぎ目やビスの頭だけを埋めるか、壁全体にパテをしごくかは、下地の状態と仕上げ材に合わせて決めます。
乾燥の見極め方|次の工程に進んでよいか
次の工程に進む判断は、まず製品に表示された時間を基準にします。乾燥時間は、パテの種類、塗った厚み、室温や湿度で変わるためです。たとえばメーカーのセメダインは、ある室内下地用のパテについて、完全硬化の目安を24時間以上の乾燥としています。別の製品にそのまま当てはまる数字ではありません。
表示の時間に加えて、次の点を見ると判断しやすくなります。
- 色:塗った部分の中に、色が濃く湿って見える場所が残っていないか
- 厚い部分:表面が乾いていても、深く埋めた場所の中は乾くのが遅れやすい
- 環境:気温が低い日や湿度の高い日は、いつもの時間で判断しない
半乾きのまま次を塗ったり研磨したりすると、後からヤセや割れが出たり、ペーパーが目詰まりしたりします。特にクロスの場合は、湿ったまま貼ると変色やはがれ、カビにつながることがあるため、貼る前に乾きを確かめます。工期に追われるほど、この見極めが仕上がりの差になります。
研磨のコツ|削るのではなく段差をつなげる
研磨の目的は、パテを大きく削ることではなく、まわりの面と段差なくつなげることです。形は塗る段階で整えておき、研磨は最後の調整と考えます。
- 平らな当て板を使う:ペーパーを手で直接持つと、指の形にへこみやすくなります。サンドペーパーホルダーや当て板を使うと面がそろいやすくなります。
- ボードの紙を削らない:パテのまわりまで強くこすると、石膏ボードの表面の紙が毛羽立ちます。力を入れず、パテの部分を中心に動かします。
- 目で見て手でなでる:明かりを横から当てて確認し、手のひらでなでて段差を探します。
- 粉を残さない:表面に粉が残ると、次に塗るシーラーやクロスの糊が密着しにくくなります。
研磨中は粉が舞うため、防じんマスクと保護メガネを着け、換気をして、まわりを養生してから始めます。石膏ボード工業会の「石膏ボード施工マニュアル」も、製品の切断・加工・施工で粉じんが出る場合があるとして、安全メガネと防塵マスク(国家検定に合格したもの)の着用を求めています。サンドペーパーの番手は、パテの種類や仕上げ材によって合うものが変わるため、製品の案内を確認し、目立たない場所で試してから進めます。
古い建物で、既存の壁の下地や以前の補修跡を削る場合は注意が必要です。石綿(アスベスト)を含む建材が使われている場合があります。厚生労働省の石綿総合情報ポータルサイトの改修・リフォーム業者向けのページは、改修・リフォームの工事を行う際は、規模の大小にかかわらず工事前に石綿含有の有無の事前調査を行う必要があるとしています(同サイトの説明を要約)。同サイトによると、事前調査は建築物石綿含有建材調査者などの一定の要件を満たす者が行う必要があります。仕事として請け負う場合は同ページで対象や決まりを確認してください。
自宅や所有する物件を自分で補修する場合も、事前調査と無関係ではありません。環境省の石綿事前調査結果の報告についてのページは、建築物等の解体・改造・補修を伴う建設工事の元請業者のほか、自主施工者(請負によらず自ら施工する者)も、石綿含有建材の使用の有無を調査する必要があるとしています(同省の説明を要約)。調査のしかたは工事の内容で変わるため、2006年(平成18年)9月より前に着工した建物や、建材が分からないときは、削る前に専門の業者や自治体の環境担当の窓口に相談してください。賃貸の部屋は、先に貸主・管理会社に確認してください。
よくある失敗と対策
パテ処理の失敗は、厚塗り・乾燥不足・研磨の不足や削りすぎで起きやすくなります。
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 乾いたらへこんだ | 一度に厚く塗った(ヤセ) | セメダインは、ある製品の案内で、深い穴や凹みは2〜3回に分けるとしている。薄く塗り重ねる |
| ひび割れが出た | 厚塗り、乾く前の塗り重ね | 割れた部分を取り除き、乾燥を待って塗り直す |
| 継ぎ目がふくらんで見える | 塗り幅が狭く、高く盛った | 幅を広げて塗り、なだらかにつなげる |
| 研磨跡がクロスに出る | ペーパーの傷が深い、紙が毛羽立った | 力を抜いて研磨し、傷が残る部分は薄く上塗りする |
| パテの部分だけ透ける | 下地と色が違うパテを使った | 壁紙メーカーのシンコールは、パテは下地と同色のものを使うよう求めている。貼る前に確認する |
まとめ|パテ処理は塗る前の選択と待つ時間で決まる
パテ処理のやり方の要点は、仕上げに合うパテを選ぶこと、薄く広く塗り重ねること、乾いたのを確かめてから次へ進むこと、段差をつなげるように研磨することの4つです。手順自体は単純でも、乾き具合や段差の見え方の判断は、実際に手を動かして確かめるほうが分かりやすい部分です。
パテ・下地処理を含むクロスの技術を職人のマンツーマン指導で練習したい方は、クロス(壁紙)張替えの講習のページをご覧ください。「パテ・下地処理」はAコース 基礎技術習得コースの学べる内容(一例)にも入っています。


